どうぞ、あなたも「自分の心を見る」ことから始められて本当のことを知っていってください。自分はなぜ生まれてきたのか、何をするために生まれてきたのかを自分の心で分かって、本当の人生を生きていただきたいと思います。そして、喜びで死んでいっていただきたいと思います。

 あなたが今そこにいるのは決して偶然ではありません。必然なんです。そしてあなたのその今の環境、あなたの周りにいる人達、起こってくる出来事、全部が必然のものです。それらはみんな「母なる宇宙」からのメッセージだと気付ける人が一人でも多く出現していけばと、私は思っています。

 そもそも「母なる宇宙」というのは、どこか遠くにある世界のお話ではありません。「母なる宇宙」というのは、私達みんなの本当のふるさと、心のふるさとなんです。

 私達が本当に帰るべき場所、帰りたい場所は、たった一つ、実は、私達はみんな自分のその場所を捨て去ってきたのです。

 あなたの心の奥底の、底の、まだもっと底から突き上げてくるあなた自身の心の声があります。それは、「帰りたい。帰りたい。帰ろう。帰ろう。みんないっしょに帰ろう」という声にならない声です。

 どうぞ、その声にならない声に心を傾けていってあげてください。一つひとつすくい上げていくことができるような自分を取り戻していきましょう。

 さあ、あなたも、そしてあなたも、自分自身の本当のふるさとを探求していきませんか。今は声にならない声であっても、それがあなたの中で、段々に大きくなっていくときが来るのは、もうそんなに遠くないと私はお伝えしたいと思っています。

 「人間はみんな自分の本当のふるさとを捨てたのです。」このように伝えてくれた方がいました。名前は田池留吉と言います。田池留吉氏は約三十年余りの年月、主に日本各地でセミナーを開催してこられました。そのセミナーの中で、「私達人間は意識、波動、エネルギーです」というテーマを真っ直ぐに示されました。「学びは人生です。」と繰り返し言われて、「日々の生活の中で、自分の心を見るという実践を通して『私達人間は意識、波動、エネルギーです』ということが、それぞれの心で感じ分かっていける方向に学んでいってください。」と、熱く語ってこられました。

 私自身、セミナーに参加させていただいて二十年余りです。その年月の中で、私は、田池留吉氏が伝えてくれた「私達人間は意識である、波動である、エネルギーである」ということを、自分の心で実証してきました。それは、セミナー会場での実体験と、それと並行して起こった自分の身の回りの出来事の両面から、学ばせていただいたというわけです。

 私達の心、すなわち私達の意識の世界には、凄まじいエネルギーが渦巻いているということを、できるだけたくさんの人達に、自分の心で知っていただきたいというところにあります。

 それは、そうしないと、私達のたった一つのふるさとである「母なる宇宙」に帰り着くことが叶わないからです。

 まず、どなたも無知とエゴと欲で作り続けてきた凄まじいエネルギーで覆い尽くされている自分の現実を、心で知っていくことから始めなければならないんです。

 聖人君子などこの世には存在しません。誰一人例外なく、深淵(しんえん)な心の闇を抱えている現実に目を向けていかなければならないんです。

 自分の心を見て、そして、セミナーに参加していけば、私達はみんな、田池留吉氏という一人の人間を通して、自分の培ってきた、無知とエゴと欲の凄まじいエネルギーをつぶさに感じていくことができるということでした。田池留吉氏という一人の人間を通して、自分の愚かさがあぶりだされてくると言ってもいいでしょう。それが、田池留吉氏が、今世、三十数年の長い年月を費やして、セミナーを開催してくれた大きな理由です。

 もちろん、そのエネルギーは、あなた自身の心で感じられればお分かりになると思いますが、すべてを破壊していくエネルギーです。

 そんなエネルギーを心に抱え、私達は日々の生活を送っています。

 そんなエネルギーを心に抱え、人類は、政治、経済、文化、教育等々、あらゆる分野で、日夜奮闘しているのです。

 セミナー会場で氏の姿を見るとか、声を聞くとかすれば、私の心の中から、思いがむくむくと噴き上がってくるのを、私は何度も体験させていただきました。

 私は、最初、不思議と驚きばかりでした。

 しかし、やがて、その不思議と驚きの現象も、「私の地獄の釜の(ふた)が、今世開きました」と理解させていただくことで、不思議でも驚きでも何でもなくなりました。確かにその現象は、田池留吉という一人の人間により、私の地獄の釜の蓋が大きく開き、白日のもとに引きずり出された衝撃を私に与えました。最初、それが、私には悔しくて腹立たしくてたまりませんでした。まさに、(はらわた)が煮えくり返るほどの悔しさだけが、心の底から噴き上がってきたのでした。

 しかし、今思えば、それが私の母なる宇宙へ帰る軌跡の始まりだったのです。

 私は、セミナーでの数え切れないほどの、心の体験を経て、今世、ようやく、「私は間違ってきました。真っ黒な宇宙を広げてまいりました」ということを、本当に心で知ったのです。だから、はっきりと言えるのです。

 私達は誰一人例外なく、凄まじいエネルギーを心に抱かかえていますと。

 そして、こんな状態を野放しにしているから、(ちまた)では理解に苦しむ事件、事故等が多発してくるし、大きな規模の災害も起こってくるんですと。そして、それは、決して他人事ではありません。私達の心の投影なんですと。

 日々の生活の中で、自分の心を見ていくことによって、すなわち、自分自身の思いの世界を丹念に追っていくことによって、このことが、(おのず)と分かってきます。自分の凄まじい思い、エネルギーを心で知っていけるのです。つまり、自分というものを知っていけるのです。

 地獄の釜の蓋が開いたということは、マイナスのエネルギーを垂れ流してきた自分の現実に、自分の心が触れたということです。それはある種の絶望かもしれません。

 しかし、その絶望は単なる絶望ではありません。心を見るという習慣がついていれば、絶望だけで終わることはあり得ないんです。

 なぜならば、自分の作ってきた凄まじいエネルギーを知っていけばいくほど、やがて、その凄まじいエネルギーを大きく包み込む温もりというか、喜びを感じていくからです。

 しかも、それは、自分の外から感じられるものではなくて、自分の中から湧き起こってくると感じてきます。つまり、大きくて広くて温かくて優しい自分が自分を包み込んでいることを知っていくんです。

 それは言い換えれば、本当の自分と出会っているということです。

 そうなってくると、「人はなぜ生まれてくるのか」、「なぜ死んでいくのか」、そういったことも自然に分かってきます。

 そして、肉体という形を持って、今ここに存在している意味を、本当に自分の心で感じ分かってくれば、「母の心」があなたの心に響いてくるはずなんです。

 >>「母の心と宇宙」に続く

(塩川香世著『母なる宇宙とともに』より抜粋)